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第17回日本臨床内科医学会( 会長=中山脩郎・神奈川県内科医学会会長) が,「健康長寿社会を目指して-臨床内科医の取り組み-」をメインテーマに2003年9月13日〜15日の3日間,パシフィコ横浜で開催された。

プログラムはパネルディスカッション「健康長寿社会を目指して」,シンポジウム「ここまでできる糖尿病実地診療」など,実地臨床に則したものが多く,教育講演,一般演題などを含めて活発な議論が繰り広げられた。また,インフルエンザワークショップ「日臨内インフルエンザ調査研究2002〜2003」も話題を呼んだ。

無症候性脳虚血病変は脳梗塞発症の予知因子

東海大学神経内科 篠原幸人

人口の高齢化が進む中で脳梗塞が増えており,その発症予防が急務となっている。東海大学神経内科の篠原幸人氏は教育講演「高齢化社会における脳血管障害への対応」の中で,「予防のポイントは危険因子の早期治療と無症候性脳虚血病変の早期発見」と指摘した。

無症候性脳虚血病変は,臨床症状は全くないにもかかわらず画像上に病変が映し出されるもので,無症候性脳梗塞,PVH(脳室周囲高信号域), 深部白質病変などがある。脳梗塞の初発患者でこうした病変の有無を調べると67〜74%に認められ,高齢者や高血圧患者ほどその頻度が高かった。また脳梗塞未発症の2139例を3 年間フォローしたところ,無症候性脳虚血病変のある症例は脳梗塞の発症率が有意に上昇していた。これらのデータから篠原氏は「無症候性脳虚血病変は脳梗塞の予知因子」とし,「脳梗塞を水際で防ぐにはその早期発見と管理が重要」と強調した。

インフルエンザワクチンは有効で安全

日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 川島崇

インフルエンザ予防の基本はワクチンとされるが,一部には副反応を懸念する声もある。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の川島崇氏は,ワークショップ「日臨内インフルエンザ調査研究2002/2003」の中で,全国的な前向き研究のデータを紹介し「昨シーズンの調査では有効性と安全性が確認された」と述べた。

それによると,この調査はインターネットデータベースを利用したもので,最終的な解析対象はワクチン接種8898名,非接種2232名の計1万1130例にのぼった。全解析対象のうち452例がインフルエンザ様疾患(ILI) と診断され,うち370例が迅速診断でインフルエンザ(FLU) と確診された。ワクチンの有無別に発症率をみると,ILI,FLUとも接種群で有意に低く,ワクチンの有効性が確かめられた。また,懸念された副反応の発生率は1.45%と低かく,いずれも軽症だった。川島氏はこの成績から「ワクチンの有効性と安全性が裏付けられた」と述べた。

インフルエンザ感染力は解熱後も3日間は持続

川崎市内科医会 廣津伸夫

インフルエンザ感染力が治療・解熱後いつまで持続するかを知ることは,流行阻止のため大きな意味を持つ。川崎市内科医会の廣津伸夫氏は,この点を迅速診断法で検討して報告した。対象はインフルエンザ感染者の中から抽出した治療群184例,無治療群44例で,治療群の92例は抗インフルエンザ薬を投与していた。発症7日後まで迅速診断法を行い,感染力の指標としてウイルス残存率を調べた。その結果,治療群において発症3.5日後で62%,6日後で8%が消失せずに残っていた。また解熱3日後でも13%のウイルス残存を認めた。さらに家族内での発症をみると,平均3.7日間隔で一人目から次の家族へと感染していた。廣津氏はインフルエンザの感染力が解熱後でも3日間は持続するとし「この間は厳重な注意が必要」と警告した。

個人のゲノム完全配列解析が可能な時代が必ず到来する

埼玉医科大学ゲノム医学研究センターゲノム科学部門 岡崎康司

DNAの二重らせん構造解明から50年目にあたる2003年4月,ヒトゲノムの解読が完了し,ポスト・ゲノムシーケンスの時代に突入した。埼玉医科大学ゲノム医学研究センターゲノム科学部門の岡崎康司氏は,「生活習慣病と遺伝子」をテーマに教育講演を行った。そのなかで岡崎氏は,「単一遺伝子疾患の多くは原因遺伝子が同定されているが,複数の遺伝子座が関与する多因子疾患の全容解明にはほど遠く,糖尿病など生活習慣病と癌の関連遺伝子解明が新しい研究分野である」と指摘した。

遺伝子多型研究ではSNP(一塩基置換)の解析が注目され,疾患に関連するSNPを探し出すことが個々に合わせたテーラーメイド医療の実現につながるとした。また,ヒトドラフトゲノムで知られるCollinsの予測を紹介するなかで,「個人のゲノム完全配列解析が行える時代が必ずやってくる」と述べた。

今冬のインフルエンザはA型1月下旬,B型は2月上旬にピークが

岐阜県内科医会 河合直樹

日本臨床内科医会では,2000/2001年シーズンからインフルエンザ調査研究に取り組んでいる。この調査研究は,国内初のインターネット・データベースを利用した研究である。研究班の班長で岐阜県内科医会の河合直樹氏は,今冬のインフルエンザの動向について報告した。

今シーズンの調査研究には32都道府県の68施設が参加した。迅速診断法によりインフルエンザと診断された約2,300例の発症時期をみると,A型は1月下旬,B型は2月上旬にピークがあり,発症日中央値はB型がA型より26日遅かった。平均年齢はA型26.7歳,B型16.0歳で,20歳以降にB型は少なかった。肺炎合併率はA型0.63%,B型0%と,A型が有意に高かった。咳や発熱は診断の特異度は低いが感度は高く,河合氏は「さらに診断基準の見直しをはかりたい」と述べた。