健康と医療に関する総合情報サイト GCLEW.com (ジークルー・コム)

第30回日本脳卒中学会総会

第30回日本脳卒中学会総会(会長:岩手医科大学神経内科名誉教授・東儀英夫)が4月21日〜22日の2日間、岩手県民会館(盛岡市)など4つの会場にて開催された。今回は「STROKE 2005」の名のもとに日本脳卒中の外科学会、スパズムシンポジウムと合同で開催された。一般演題では500題以上が取り上げられ活発な討議がなされた。脳卒中は全身疾患の一部分症であり、多くの専門領域との連携が必要との認識に基づき、統一テーマとして「脳卒中の統合」が掲げられた。

脳梗塞再発発作の高リスク群にバイパス術は有効
―JET study―

岩手医科大学脳神経外科 小笠原邦昭氏

岩手医科大学脳神経外科の小笠原邦昭氏は、合同シンポジウム「脳卒中多施設共同調査報告」において、Japanese EC-IC bypass trial(JET) studyの結果を報告した。これまでに頭蓋外-頭蓋内(EC-IC)バイパス術に否定的な報告(N Engl J Med. 1985; 313: 1191-1200)もあったが、有効とする報告も散見される。今回の試験では、SPECTを用いた脳血流の測定により脳主幹動脈の閉塞・狭窄によるstage 2の脳虚血患者を選択し、薬物療法群(抗血小板薬)を対照としてEC-ICバイパス術の有効性を検証した。追跡2年間の結果、薬物療法群に比べてバイパス術群の死亡率を61%低下させ、同側再発による死亡率を73%低下させることがわかった。小笠原氏は「適応を絞ったEC-ICバイパス術は有効であることが証明された」と述べた。続いて国立循環器病センター脳神経外科の宮本亨氏は、脳血流低下軽症群(stage 2に近いstage 1)を対象としたJET-2 studyに触れ、「現在進行中の試験成績が示されることにより、EC-ICバイパス術の適応がさらに明確になる」と期待感を示した。

日本における頸動脈狭窄治療の実態
―ガイドライン作成に向けて―

富山医科薬科大学脳神経外科 遠藤俊郎氏

Japan carotid atherosclerosis study(JCAS)は、日本における頸動脈狭窄治療の実態を把握し、適切な治療に関するガイドラインを作成することを目的とした多施設(63施設、78診療科)共同研究である。富山医科薬科大学脳神経外科の遠藤俊郎氏は、合同シンポジウム「脳卒中多施設共同調査報告」で、内頸動脈が50%以上狭窄した患者1,013名の解析結果から、欧米人に比べ日本人では頸動脈高度狭窄病変の発生頻度は低く米国の20分の1程度で、男性に圧倒的に多い(約90%)こと、さらに頸部高位病変も多いという特徴を報告した。全体の25%に内科治療、44%に頸動脈内膜切除術(CEA)、31%に頸動脈ステント留置(CAS)が施され、外科治療1ヵ月後の合併症率はCEA 2.7%、CAS 3.5%と良好な成績だった。遠藤氏は「良好な成績の背景には、脳神経外科が中心となった治療および一定期間の入院による慎重な術後管理がある」とし、ガイドライン作成について「本年度中の作成を予定している」と述べた。

血管反応性の低下と酸素摂取率の上昇は相関せず
―PETによる検討―

福井大学高エネルギー医学研究センター 岡沢秀彦氏

脳の血管反応性低下は酸素摂取率(OEF)上昇と相関し、SPECTでのアセタゾラミド負荷試験で評価可能とされてきたが、必ずしも一致しない症例が存在した。脳酸素摂取率とは、動脈血中の酸素が組織に移行していく割合のことで、一般に脳潅流圧が低下した場合に代償能として上昇すると言われている。今回、福井大学高エネルギー医学研究センターの岡沢秀彦氏は、脳血管障害患者104名を対象にPETを用いてこの関係を調べ、シンポジウム「画像診断の最先端」で報告した。その結果、血管反応性の低下とOEF上昇に相関は認められず、いずれかの指標のみでは脳循環代謝障害を正確に鑑別できないことが明らかとなった。岡沢氏は「血管反応性の低下とOEFの上昇は異なる病的血行動態の指標と考えるのが妥当であり、相補的なパラメータとして用いるべきだ」と結んだ。