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第34回日本動脈硬化学会が7月18,19日,神戸国際会議場を会場に開催された.注目は,高脂血症診療ガイドライン(1997年)を改訂した新しい「動脈硬化性疾患診療ガイドライン」が公表されたことである.名称の変更が示すとおり,コレステロールだけでなく,動脈硬化性疾患全体を視野に入れた管理基準を示したことが特徴である.また,昨年の総会では高脂血症の診断基準値を従来よりもゆるめた総コレステロール(TC)値240mg/dL以上とする案が公表されたが,今回のガイドラインでは従来どおり220mg/dL以上となった.ここでは20日に行われた記者発表会の内容を基に,新しいガイドラインの概要を紹介する.

高脂血症診療ガイドライン(1997年)の問題点

従来のガイドラインは,患者を冠動脈疾患のリスクごとにカテゴリー分けし,それぞれに治療目標値を設定したことが特徴である.しかし,コレステロールの管理に限定的で,必ずしも他のリスクの重要性を十分に反映したものではない,薬物療法の適応基準を設けたため薬物治療が安易に行われるおそれがある,などの点が問題として指摘されていた.

新しいガイドラインの目的と特徴

本ガイドラインは,わが国の動脈硬化性疾患の予防と治療を目的としたものであり,動脈硬化性疾患のうち特に冠動脈疾患を念頭にし,管理目標は高脂血症を中心にしたものであるが,他の冠危険因子も十分に考慮したものである.また,本ガイドラインは臨床医に動脈硬化性疾患の予防や治療判断の情報を提供するものであるが,個々の患者の治療目標や治療手段の最終判断は直接の臨床医による.
高脂血症の診断基準値は,従来どおり,TC値220mg/dL,LDL-コレステロール(LDL-C)値140mg/dLとしたが,適正値は設けず,あくまでも冠動脈疾患のリスクのある患者を幅広くスクリーニングするための基準値とした(表1).
実際の治療にあたっては,冠動脈疾患の有無および他の危険因子の存在を加味して,よりきめ細やかな診療を行うための管理目標値を別途定めている(表2).
また,マルチプルリスクファクター症候群の重要性を強調したこと,脂質管理はライフスタイルの改善を優先したこと,患者のリスクに応じたきめ細かな診療を行うためにカテゴリーBをB1〜B4の4段階に分けたこと,冠動脈疾患リスクのうち糖尿病のリスクを重要視したこと,などが特徴である. なお,本ガイドラインは後日,日本動脈硬化学会から出版される予定であり,当学会のホームページにも掲載が予定されている.

表1 高脂血症診断基準(血清脂質値:空腹時採血)
高コレステロール血症 総コレステロール ≧220mg/dL
高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール ≧140mg/dL
低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール <40mg/dL
高トリグリセリド血症 トリグリセリド ≧150mg/dL


表2 患者をLDLコレステロール値以外の主要冠危険因子の数により分けた6群の患者カテゴリーと管理目標値
患者カテゴリー 脂質管理目標値(mg/dL) その他の
冠危険因子の管理

冠動脈
疾患*
LDL-C 以外の
主要冠危険因子**
TC LDL-C HDL-C TG 高血圧 糖尿病 喫煙
 A なし 0 <240 <160 ≧40 <150






















尿




禁煙
 B1 1 <220 <140
 B2 2
 B3 3 <200 <120
 B4 4以上
 C あり
<180 <100
TC:総コレステロール,LDL-C:LDLコレステロール,HDL-C:HDLコレステロール,TG:トリグリセリド
* 冠動脈疾患とは確定診断された心筋梗塞,狭心症とする.
** LDL-C以外の主要冠危険因子
加齢(男性≧45歳,女性≧55歳),高血圧,糖尿病,喫煙,冠動脈疾患の家族歴,低HDL-C血症(<40mg/dL)

・原則としてLDL-C値で評価し,TG値は参考値とする.
・脂質冠管理は先ずライフサイクルの改善から始める.
・脳梗塞,閉塞性動脈硬化症の合併はB4扱いとする.
・糖尿病があれば他に危険因子がなくともB3とする.
・家族性高コレステロール血症は別に考慮する.


■日本動脈硬化学会--JapanAtherosclerosisSociety