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第36回日本小児呼吸器疾患学会(会長=多田羅勝義・国立療養所徳島病院小児科)が2003年11月22日と23日の両日、徳島文理大学(徳島市)で開催された。今回は、「小児呼吸機能検査」や「小児気管支喘息の外来管理」をテーマとした2つのシンポジウムのほか、招待講演、特別講演、教育講演などが企画された。一般演題は75題が発表された。招待講演では、近年急速に普及している非侵襲的陽圧換気法(NPPV)が取り上げられたほか、小児の重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する中国の臨床成績も示された。会員数約600人と小規模ながら、熱心な討論が展開されたのが印象的だった。 マイクロリントで乳幼児の呼吸機能を簡便に測定西部総合病院小児科 数間紀夫氏これまで小児、特に乳幼児の呼吸機能を簡便に測定できるよい方法はなかったが、近年、マイクロリント(Micro Medical Ltd,Rochester,UK)という気道抵抗測定機器が開発された。西部総合病院小児科の数間紀夫氏は、マイクロリントを用いて生後5カ月から5歳の外来患児210例の気道抵抗を測定した。測定時には、マウスピースを口にくわえて安静時呼吸をさせ、気道抵抗を5回測定しその中央値をRint値とした。結果、喘息発作児では喘息非発作児や非喘息児よりもRint値が有意に高値であり、聴診所見で発作か否か区別できなかった患児のうち、Rint値が予測値以上の患児はβ2刺激薬吸入後にRint値が有意に低下した。また、非喘息児ではRint値の実測値と正常予測値との間に有意な相関が認められた。同氏は「乳幼児でも多くの場合30秒ほどで測定できる。発作の診断や治療効果の判定に有用で、とくに小発作の抽出に役立つ。治療のコンプライアンスの向上にもつながる」とその有用性を指摘した。 NPPVの適用や中止の目安に使える新しい呼吸機能指標BTIを開発古賀医療研究所 古賀俊彦氏非侵襲的陽圧換気法(NPPV)が急速に普及しつつあるが、現在、NPPVの適用や中止の目安として十分に利用できる臨床的指標はない。古賀医療研究所の古賀俊彦氏(国立療養所八雲病院小児科の石川悠加氏が代理発表)は、教育講演「呼吸耐力とBTI(Breath Test Index)」で、NPPV開始や中止の目安となる新しい呼吸機能の指標を開発したことを紹介した。現在の指標としては、一般に炭酸ガス分圧(PaCO2)が用いられ、50mmHgを超える場合に開始し、目標レベルは35〜45mmHgのいわゆる正常範囲内とされている。ところが、実際にはPaCO2が80mmHgでも保存的治療ですむことがあり、一方、50mmHg以下でもNPPVを必要とすることがある。こうしたことが起こるのは、PaCO2が肺胞の換気量を結果として示すだけで、呼吸筋の疲労などのダイナミズムを反映していないためだ。そこで、古賀氏らは、呼吸筋の疲労を示す新しい指標としてBTIを開発した。
呼吸筋の疲労は、“収縮時間と力の大きさが大きいほど疲れる”、“大きな力を使うほど疲れる”、という2つの因子によって規定されるが、前者はTi/Ttotに、後者はTV/VCに、それぞれ反映されている。すでに、換気モニター装置、フローセンサー、ノートパソコンからなるBTI測定器も作製されている。検査は5〜10分で実施でき、呼吸不全患者にも施行できる。健常者や種々のレベルの呼吸困難を伴う患者での検討では、BTIと呼吸困難度(呼吸耐力)が線形関係にあり、呼吸耐力をBTIで数値化できることが示唆された。0.145という、ある一定のBTI値がNPPV開始の指標になることを示す結果も得られているという。 小児肺機能検査は明確化・説明・予測を可能にする国立成育医療センター呼吸器科 宮川知士氏小児では成人ほど肺機能検査が普及していないが、これは実施が難しいためだけでなく、その有用性の認識が乏しく、検査の目的を設定しづらいためである。シンポジウム「小児呼吸機能検査」の中で、国立成育医療センター呼吸器科の宮川知士氏は、同科で過去10年間に施行した約900件の肺機能検査のデータを踏まえて、小児肺機能検査の有用性や可能性を、3つに大別して示した(下図)。
宮川氏は「日常臨床で肺機能検査を常に意識し、検査の対象や方法を工夫していけば、小児特有の新たな応用の可能性も出てくる」と小児肺機能検査の有用性を強調した。 出産後自宅に戻ってからの肺炎に注意旭川厚生病院小児科 坂田宏氏新生児期の肺炎はきわめて少ないとされるが、その状況を調べた報告はほとんどない。旭川厚生病院小児科の坂田宏氏は、同院での最近10年間の新生児期の肺炎についてまとめた。それによると、1993〜2002年の10年間に同院に入院し、肺炎と診断された新生児(生後4週間未満)は40例で、この期間の肺炎患者全体の0.4%を占めた。新生児期の肺炎の原因は、RSウイルス(RSV)が12例で最も多く、次いでH.influenzae 5例、C.trachomatis 3例などであった。発症日齢は0〜6日と7〜13日が各3例、14〜20日が13例、21〜27日が21例で、出産後自宅に戻ってからの感染対策の重要性が示唆された。死亡例はなかったが、4例に人工換気を実施した。また、咳嗽や発熱など、肺炎に典型的な臨床症状を呈さない例が少なくないため,同疾患を念頭に入れて経過観察をしていくべきであるという。 |
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