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第62回日本脳神経外科学会総会(会長=吉本高志・東北大学総長)が10月1日より3日間,仙台市の仙台国際センターなどで開催された。メインテーマ「脳神経外科−日本における現状と展望−」のもと,初めての試みとして,全国の医学部,医科大学約80施設の代表者(教授)がそれぞれの教室における最先端の研究を紹介する施設代表講演が行われた。その他 「グリオーマ治療の最前線」「AVMの治療戦略」「これからの医学教育−現場と行政の立場から−」「バイオナノテクノロジーと最先端医療」「日本発の脳神経外科EBM」など,興味深いテーマを掲げたシンポジウムが多数企画され,どの会場でも熱心な討論が繰り広げられた。 グリオーマの治療成績向上には機能温存手術と他療法との集学的治療が必要筑波大学臨床医学系脳神経外科 松村明氏筑波大学臨床医学系脳神経外科の松村明氏らは,グリオーマの治療成績を向上するため集学的治療の確立に取り組んでいる。5-ALAマッピングなど術前の機能・代謝診断と術中のMEPモニターにより,現在ではグリオーマの機能温存手術が可能になった。術後の治療には90Gy以上の放射線療法,中性子捕捉療法,陽子線療法,免疫療法などがある。同氏らは,中性子捕捉療法に関する第I/II相試験(対象9例)で,平均31REB-Gyの1回照射により奏効率100%という優れた成績を得た。また局所的な腫瘍制御法とワクチン療法の併用で,腫瘍退縮効果と増大遅延も認められた。新しい陽子線療法についても検討中だ。松村氏は「治療成績向上のためには,機能温存手術とともに,診断評価技術と種々の主力療法を駆使する必要がある」と指摘した。 AVM治療−術前塞栓術はnidus embolization,塞栓物質は液体で藤田保健衛生大学脳神経外科 佐野公俊氏動静脈奇形(AVM)の治療法には現在,開頭摘出術,血管内塞栓術,ガンマナイフの3つがあるが,AVMの大きさ,位置,出血の有無などを考慮し,最適な治療を選択する必要がある。藤田保健衛生大学脳神経外科の佐野公俊氏はシンポジウム「AVMの治療戦略」で,深部の小さなAVMにはガンマナイフが第一選択になるが,表在性の小さなAVMであれば摘出術のみで対処できること,表在性の大きなAVMでは摘出術に先立ち塞栓術が必要になることを指摘した。塞栓術については,栄養動脈を塞栓するfeeder embolizationは約1か月後に血管新生が生じ,手術が困難になることがあるのに対し,血管塊まで塞栓するnidus embolizationはNPPB(normal perfusion pressure breakthrough)を予防できるため,より望ましい方法だとした。塞栓物質としては,塞栓効果の高いPVA(polyvinyl alcohol)などの液体が摘出術を容易にする上で有用だと述べた。 脳死臓器移植の普及に向け,医師らの協力を強く要請東北大学先進外科学 里見進氏臓器移植法の成立から今年で6年目を迎えたが,我が国の脳死臓器移植はいまなお低迷した状態が続いている。東北大学先進外科学の里見進氏は,特別講演「本邦における臓器移植の現況」で,脳死臓器移植の普及に向け,医師らのさらなる協力を強く要請した。里見氏によると,今年8月までの脳死下臓器提供は23例で,欧米諸国に比べ極端に少ない。2000年以降はむしろ減少傾向がみられる。移植成績は欧米と同等もしくはそれ以上であるのに,それを移植希望者のほとんどが享受できない状況にある。低迷の原因として,脳死下の臓器提供病院が限定されていること,各施設での臓器提供の意思確認が遅れがちであることが少なからず影響している。こうしたことから,里見氏は「臓器提供病院を拡大すること,臓器提供の意思をできる限り速やかに確認いただくことに,先生方の一層のご協力をぜひお願いしたい」と訴えた。 |
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